かつて大学病院時代の先輩がビタミンDを冬期に作為的に補充するとインフルエンザに罹患する率が減少すると報告しました。今回はその研究において副次的評価項目であった喘息発作の発症頻度が減少したという、同じく大学病院時代の先輩の報告に関してです。
喘息の学童に2か月間ビタミンDを補充(800 IU/日)させた結果、補充させなかった群との比較で有意に喘息発作が減少したとのことです。またその後、4か月間投与しなかった6か月後も依然として発作頻度に有意差が認められたそうです。(Tachimoto et.al Allergy 2016;71:1001-1009)
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、肝臓に蓄えられるので、一定期間の服用でもそのような結果になったのかもしれません。ビタミンDは主にはカルシウムの代謝と関係しており、低下すると骨粗鬆症などの骨疾患を認める一方、最近は免疫機能との関連性が知られるようになりました。
別の研究(Martineau AR et.al BMJ 2017;356:i6583)で、連日または週一回のビタミンDサプリメント摂取が急性気道感染症(大雑把にいうと風邪)の減少に関与するとの報告がありました。先ほど述べたように脂溶性で肝臓に蓄えられるため、週一回の摂取でも有効であったというのは興味深いことです。なお、ビタミンDはコレステロールから合成され、その合成過程には日光浴が必要です。10分から30分程度、日光に当たるだけで充分です。
摂取するだけで良いという訳ではなく、外で元気に遊ぶ(活動)ことも大切なことなのですね。元気に外で遊ぶ子ほど風邪をひかないのはそのせいかもしれませんね(子供はかぜの子)。
なお、ビタミンDは脂溶性ビタミンですので、体内(肝臓)に蓄積するので過剰摂取は禁物です。